― 歯科経営コンサルタントが見る、伸び悩む歯科経営の共通点 ―
歯科コンサルタントとして数多くの医院の現場に入ってきました。
その中で断言できることがあります。
歯科医院の多くが、自院の現状を正確に把握できていません。
これは能力の問題ではありません。
歯科経営の“構造”の問題です。
なぜ歯科医院の9割が現状把握を誤るのか。
歯科経営コンサルタントの視点から解説します。

1. 「把握しているつもり」が歯科経営の最大の盲点
歯科経営のご相談で、院長先生に必ずお聞きします。
- 今月の自費率は何%ですか?
- 診療メニュー別の利益率は出ていますか?
- 歯科衛生士1人あたりの生産性はいくらですか?
- 固定費と変動費の割合は?
多くの場合、返ってくるのは
「だいたいこのくらいです。」
「前年より伸びています。」
「税理士に任せています。」
という回答です。
歯科経営において最も危険なのは、
“数字が悪いこと”ではありません。
問題が見えていないことです。
歯科経営コンサルタントが最初に行うのは、
改善策ではなく「現状の見える化」です。
2. 歯科経営は“マクロ”だけでは判断できない
多くの院長先生は、
- 年間売上
- 月商
- 借入残高
といった大きな数字(マクロ)は把握しています。
しかし歯科経営で本当に重要なのは、
- 診療科目別利益率
- 担当者別売上推移
- ユニット稼働率
- 再来率
- キャンセル率
といった“ミクロの分析”です。
歯科コンサルタントとして支援に入ると、
「売上はあるのに利益が残らない」
「忙しいのに経営が安定しない」
という医院ほど、
ミクロ分析ができていません。
歯科経営は“感覚”ではなく、
構造で判断するものです。
3. 「税理士任せ」の歯科経営になっていないか
歯科経営でよくあるのが、「数字は税理士に任せている」という状態です。

もちろん税理士は重要なパートナーです。
しかし税務管理と歯科経営管理は別物です。
歯科経営コンサルタントの役割は、
- 部門別収益分析
- 月次比較
- 移動平均分析
- 管理会計的視点
を通して、
経営判断できる状態を作ることにあります。
税務=過去の整理
歯科経営=未来の設計
この違いが、非常に重要です。
4. 忙しさが歯科経営の分析を妨げる
歯科医院の院長は、診療と経営を両立しています。
- 診療
- 採用
- スタッフ教育
- クレーム対応
- 設備投資判断
毎日が目の前の業務で埋まっています。
その結果、
「落ち着いたら分析しよう」
「時間ができたら計画を立てよう」
となり、
歯科経営は常に後回しになります。
しかし歯科経営コンサルタントの立場から言えば、
忙しい医院ほど、現状把握が必要です。
現状が見えなければ、
すべての判断が“勘”になります。
5. 現状把握ができていない歯科医院に起きること
歯科経営の現場でよく見るのは、次のような状態です。
- 採用しても定着しない
- 自費診療が伸びない
- 医療法人化したのにメリットを感じない
- MS法人を作ったが機能していない
- 利益が出ているはずなのに資金繰りが苦しい
これらはすべて、
現状を正確に把握していないことから始まっています。
医療法人設計も、MS法人活用も、
事業承継も、すべては歯科経営の“現状分析”が土台です。
歯科コンサルタントがまず行うのは、
制度設計ではなく“構造の整理”です。
6. 歯科経営コンサルタントが最初にやること
歯科経営コンサルタントとして最初に行うのは、
- 数字の見える化
- マクロとミクロの整理
- 定量化(数値管理)
- 定性化(課題の言語化)
この4つです。
これを行うだけで、
- 無駄な投資が止まり
- 不要な採用が減り
- 利益構造が明確になり
- 経営判断が速くなります
歯科経営は、特別なテクニックよりも
土台の整備で差がつきます。

まとめ|歯科経営の差は“現状把握力”で決まる
歯科医院の9割が現状を正確に把握していない。
しかしそれは裏を返せば、
現状把握を徹底するだけで、上位1割に入れる
ということでもあります。
歯科経営は、
派手なマーケティングよりも、
精度の高い現状分析が先です。
歯科コンサルタントや歯科経営コンサルタントが存在する理由も、
ここにあります。
次回は、
▶ 歯科経営における「定量化」と「定性化」の具体的手法
を解説します。
脱・ノープラン歯科経営は、
まず“現状を直視すること”から始まります。