私はデザインというカテゴリーの仕事に40年以上も関わっていますが、美大を卒業して社会人デザイナーとしてデビューしたのは家電商品をデザインする「プロダクトデザイン」でした。
まだまだデザイナーのヒヨコであった私は「かっこいいデザインにすれば売れる!」などと安易に考えていましたが、仕事をするにつれ昨日の自分が恥ずかしくなる毎日を送りました。
商品をデザインすることは単にカタチを考えるだけではなく、実はそれを使う人、使われる環境、生活の中での存在価値や意味など、多様な背景から深く関わっていかなければならないことを痛いほど学びました。
80年代のモノさえ作れば売れる時代もバブルが弾ける音を機に本当の豊かさを問う時代となり「人が真ん中のデザイン」という考え方になりました。
私が考えた「人が真ん中のデザイン」のキーワードは【動詞をデザインする】という考え方でした。
例えば《椅子》をデザインするのではなく《座る》をデザインするということです。
動詞をデザインすることによって、そこには人が必ず存在し、しかもその人の体型、体調、状態、感覚、環境、気分、目的など様々な付加条件が同時に発生します。
私たちが毎日使う歯ブラシも《歯を磨く》をデザインされて商品化されたものです。
歯ブラシのカタチを権利化する意匠権は今日現在で2027件も特許庁に登録されていますが、おそらくメーカーのデザイナーさんが使う人のことを沢山の角度から考えて生み出された「人が真ん中のデザイン」だと思います。
因みに、歯ブラシに関連した発明である特許・実用新案は8317件も特許庁に申請または登録されています。それにしても、登録査定には至っていない公開段階の案件が含まれているとは言え、特許と実用新案で8000件以上も登録されているというのは驚きです。更には当然のように、どの企業もライバル企業の特許を自社で試作し研究して更に上の歯ブラシを目指して研究開発を日々行っているのです。
クオリアグローバルマネジメントでは、教育ビジネス支援の一環として産学連携プロジェクトもサポートしています。
美大でデザインを学ぶ学生の自由な発想と表現で、歯科医師の先生が自信をもって「これだ!」と推奨していただける理想的な歯ブラシが開発されるかも知れませんね。
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クオリアグローバルマネジメント株式会社
ブランディングアドバイザー 下尾邦之
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