人前で話をするのは苦手な方が多いと思います。
私もそのひとりで、企業や大学で人前で話す機会が多かったため今では昔ほどではありませんが、それでも極力避けて通りたいほど苦手でした。
とは言え、大学では学生に「プレゼンテーション」に関わる資料の制作や効果的なノウハウ等を教える立場でしたので、そんな本音は口には出せずにいつも大きな壁と闘っていたような気がします。
このブログを読んでくださる方の中にも歯科医学会などでプレゼンテーションをされた方がいらっしゃると思いますが、今回は「プレゼンテーション」について少し書いてみようと思います。
私は家電メーカーのインハウスデザイナーとして25年間務めましたが、入社当初の1980年代はインターネットどころかワープロさえも無く、パネルに手書きでコンセプトを描いたりスケッチを貼ったりしました。
手元のカンペ(カンニングペーパー)を読むなど許されず、全てを丸暗記して選挙演説のように大きな声でハキハキと・・・大汗をかいたものです。
1992年から駐在したアメリカNYCでは、既にPCがホームユースとして広まっており、MicrosoftのOfficeにバンドルされたパワポ(PowerPoint)は、プレゼンソフトとしてビジネス界を大きく揺らしました。
デザインのスキルが無くても「絵が描ける」「スライドが作れる」ということもあり、ビジネスマンに人気でした。しかしながら、まるでお絵かきソフトの様に使われていることが多く、文字が意味なく動いたり絵が突然動き回るなど、何を伝えたいのか意味が分からないプレゼンもしばしば目にしました。
私は日本の紙芝居の様に、ストーリーに合わせて言葉とシンクロした絵や写真を挿し絵の様に入れたパワポのデータを作りました。使った方はご存知だと思いますが、スライド画面がカンペとして機能するので全てを暗記する必要がなく、また大切なことを言い忘れる心配もありません。
しかもBGMや動画を採り入れた表現力豊かなデータも簡単に作成でき、DTPr(デスクトッププレゼンテーション)という言葉も生まれる程ビジネスマンに浸透しました。
海外駐在を終えた社員には、帰国報告会という大きなプレゼンテーションが待っています。
前任者達は大変な量の紙資料とスライド用の写真等の用意で大変でしたが、私は分厚いノートPC1台と参考商品が入ったダンボールが1つだけという身軽さで、全国の事業部を行脚しました。
当時の日本はまだパワポが浸透していない時代。
大きく映されたスライド画面の横に立ちピンマイクで60分のプレゼンテーションを終えると大きな拍手。「何かご質問は?」と言うと沢山の方が一斉に挙手されました。
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今のプレゼンに使ったソフトは何というソフトですか?
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興味があったのは、プレゼンの内容ではなかったようです(苦笑)
内心残念に思いながらも、まるでMicrosoftの営業マンのようにPowerPointの良さをアピールしていました。
またそれがキッカケとなり、翌年には営業本部で全社的なパワポ研修が企画され、私はしばらく日本国内をPCとダンボールを抱えて出張の旅をしたものです。
先日、ある歯科医の先生からプレゼンテーションのご相談がありました。近々に登壇する予定があるとのことで、パワポは使えるが「良いプレゼンテーション」になるかが分からず不安だと言われるのです。
確かにパワポやキーノートは高性能なソフトですが「道具」でしかありません。どんなに高価な金槌やノコギリは使えても家は建てられないのと同意で、プレゼンテーションの目的と手段を整理し、道具の使い方を学び、求める結果に直結する設計図からスタートしなければいけません。
「クオリアがそれを教えてくれるなら、受けたい院長はたくさんいるよ」
とても貴重なアドバイスをいただきました。ノートパソコン1台抱えてお客様の所へ飛び回るのも大変楽しそうですね。プレゼンテーションやプレゼン資料のご相談もお気軽にご連絡ください。
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クオリアマーケティング株式会社
ブランディングアドバイザー
下尾邦之