弊社は、多治見市に本拠を置く陶芸製造販売企業の新商品開発およびブランディング構築支援を行うコンサルティング企業として、名古屋造形大学と産学連携プロジェクトを立ち上げました。 このプロジェクトは、陶芸に斬新な発想と若い感覚そしてデザインを融合させ、新たな製品を生み出すことを目的とし、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく活動の一環として位置づけています。
名古屋造形大学は、スタッフが前職で関わっていた大学であり、その縁を活かしてこのプロジェクトが実現しました。学生との協働は、新しい時代に向けた革新的なプロダクトを生み出すための貴重なパートナーシップです。
産学連携プロジェクトのテーマは「新たな陶磁器のカタチ」で、透光性のある陶土を用いて「暮らしと明かりの新たな関係」を追求しました。前期のカリキュラムで20名の学生から提案されたクリエイティブなデザインの中から、陶器製スナッファーのデザイン提案を商品化検討の対象にしました。 スナッファーとはロウソクの火を消すための道具で、吹き消した時の煙や臭いを無くし吹き消そうとして起こりうる火災等の事故から防ぐためのものです。ロウソクを使用する教会や家庭では仏壇やアロマキャンドルなどに使用されています。
提案されたデザインは、透光性の特性を活かし火が消える過程を美しく演出します。
常識として、火を消す道具に求める条件は『誰でも簡単に使え安全で確実に消火できる機能』でしょう。しかしながらこの提案は全く別方向の価値創造なのです。炎をやさしく包み込むように時間をかけて消えていく演出を楽しむ『豊かさ』の提案です。
提案した学生はアロマキャンドルの愛用者でした。リラクゼーションとストレス軽減、インテリアにも興味があり、自己ケアの一部として愛用しているそうです。確かにアロマキャンドルを愛用するユーザの感性には、効率や時短等のスペックよりも精神的なゆとりや情緒的な豊かさに魅力を感じたのでしょう。
ユーザ発想は「ものづくり」の基本中の基本ですが、ユーザの価値感や想いまで汲み取ることの大切さを、この度の産学連携プロジェクトを通して再認識しました。「ものづくり」に限らず「ことづくり」つまり環境やサービス、医療などの専門技術を提供する側にとっても産学連携のメリットはとても大きいと思います。
産学連携のメリット(1)クリエイティブな知識とリソースの活用
プロジェクトを通じて、美大生のクリエイティブなデザインやアイデアが創出されます。彼らの独自の視点とデザインの専門知識、そしてリアルユーザとしての感性と発信力により、新しい商品やサービスの開発とブランディングを強化することができ、市場で差別化される商品・サービスを提供できる可能性が上がります。
産学連携のメリット(2)SDGsに基づく活動
プロジェクトはSDGsに基づく活動の一環として位置づけられます。持続可能な開発目標への貢献を強化し、環境への配慮を反映した商品・サービスの開発を推進しますので、社会的な使命を果たし、顧客との共感を高めることができます。
産学連携のメリット(3)新たなビジネスモデルの構築
産学連携による商品開発は新たなビジネスモデルであり、企業として新たな価値提供を強化する機会になります。また、企業と学生の双方向にリクルートの活性化が期待出来るチャンスでもあります。
今後も産学連携の枠組みを活用し、新たなプロジェクトやアイデアを探求し、豊かな未来への一石を投じていきたいと考えます。今後の商品やサービス提供に新たな展開をご検討される際には、産学連携の仕組みをご利用されてはいかがでしょうか。
学生が考えた「おしゃれな携帯用歯ブラシ」がブレイクしたら・・・
ワクワクしませんか?
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クオリアグローバルマネジメント株式会社
ブランディングアドバイザー 下尾邦之