― 歯科コンサルタントが見てきた歯科経営の共通課題 ―
「人が足りないんです。」
歯科経営コンサルタントとして歯科医院のご相談を受ける中で、最も多い経営課題の一つが“人材不足”です。
歯科衛生士が採用できない。
採用してもすぐ辞めてしまう。
院長自身が診療に入り続けなければならない。
多くの院長先生が、「人さえいれば歯科経営は安定する」と感じています。
しかし実際に歯科コンサルタントとして現場分析を行うと、
本当の原因は“人がいないこと”ではないケースが非常に多いのです。
1. 「人数不足」ではなく「構造不足」であることが多い
歯科医院経営において、単純に人数だけを見て判断するのは危険です。
例えば、
- スタッフ数は多いのに忙しい
- 新しく採用しても状況が改善しない
- 人が増えても院長の負担が減らない
こうした医院では、
人員配置や業務設計が整理されていないことが原因です。
歯科経営コンサルタントが最初に確認するのは、
- ユニット数に対する適正人員
- 歯科衛生士の稼働率
- 診療補助業務の分担
- 院長しかできない業務の割合
です。
多くの場合、“人が足りない”のではなく、
仕組みが整っていない状態です。
2. 数字で見ると「足りている」ケースも多い
歯科コンサルタントとして歯科経営の分析を行うと、
「人が足りない」と感じている医院でも、
- ユニット稼働率が70%以下
- 空き時間が多い
- キャンセル率が高い
といったケースがあります。
これは、
人が足りないのではなく、
稼働が最大化されていない状態です。
歯科経営は感覚ではなく、
定量化して判断する必要があります。
歯科経営コンサルタントの支援では、
まず稼働率と生産性を数値で把握します。
それだけで、本当に採用が必要かどうかが明確になります。
3. 院長が「すべてを抱えている」状態
多くの歯科医院で見られるのが、
院長が
- 経営
- 採用
- 教育
- クレーム対応
- 設備判断
すべてを担っている状態です。
この場合、
スタッフがいても“人が足りない”と感じます。
なぜなら、
院長の役割が整理されていないからです。
歯科経営コンサルタントが組織設計を行う際は、
- 院長がやるべき仕事
- スタッフに任せる仕事
- 右腕スタッフが担う仕事
を明確にします。
これにより、
同じ人数でも医院の運営は大きく変わります。
4. 「採用」で解決しようとする歯科経営の落とし穴
歯科医院経営でよくあるのが、
問題が起きる
↓
採用する
↓
また忙しくなる
↓
また採用する
という繰り返しです。
しかし、構造が変わらなければ、
採用しても同じ問題が続きます。
歯科コンサルタントとして支援する場合、
まず行うのは採用ではなく、
- 業務整理
- 生産性分析
- 役割設計
です。
歯科経営は、
“人数”ではなく“設計”で決まります。
5. ビジョンがないと人は定着しない
もう一つ重要なのが、
歯科医院の方向性です。
歯科経営コンサルタントとして多くのスタッフにヒアリングすると、
退職理由の多くは
- 将来が見えない
- 成長を感じられない
- 医院の方向性が分からない
というものです。
給与や待遇だけでなく、
医院の未来が見えるかどうかが重要です。
歯科経営において、
人材は“採用”より“定着”が重要です。
そのためには、
- 中期計画
- 組織設計
- キャリア設計
が必要になります。
6. 歯科コンサルタントが最初に行うのは「採用」ではない
歯科経営コンサルタントとして支援する際、
最初に行うのは採用ではありません。
まず、
- 現状の稼働率分析
- 生産性分析
- 業務分担整理
- 組織構造整理
を行います。
その結果、
本当に採用が必要なのか、
それとも仕組み改善で解決できるのかが明確になります。
多くの歯科医院では、
仕組みを整えるだけで改善します。
まとめ|歯科経営の問題は「人」ではなく「設計」である
「人が足りない」と感じる歯科医院の多くは、
本当に不足しているのは、
人ではなく歯科経営の設計です。
歯科コンサルタントや歯科経営コンサルタントの役割は、
単に採用を支援することではなく、
人が機能する組織を設計することにあります。
採用の前に、
まず現状を整理する。
それが、
脱・ノープラン歯科経営の重要なステップです。

次回は、
▶︎ なぜ歯科医院は「自分のやりたい経営」をしていないのか?
について解説します。