デザイナーコラム

歯科医療器具のデザインは難しい

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一般的に、デザインをする際にはエルゴノミクス(Ergonomics)の概念を重要視する必要があります。
エルゴノミクスとは、人間の身体的特性や能力に基づいて製品を設計する科学です。

特に、歯科治療器具のデザインは、一般的な医療器具とは異なる独特な条件を満たす必要があります。
体外で使用されることが多い一般の医療器具とは異なり、歯科治療器具は口腔内で使用されるため、狭いスペースや湿気、呼吸、唾液といった特殊な環境下で機能させなければなりません。

さらに、清潔さと衛生面が非常に重要なので、清掃が容易な形状でなければならず、滑らかで凹凸の少ない表面を持つことが求められます。

また、患者の快適さと安全性も考慮しなければなりません。器具の形状や素材は患者の口腔内での使用に適している必要があり、誤嚥や口内組織への損傷を最小限に抑えるようデザインする必要があります。

さらに、歯科治療の道具は精密な作業に使用されるため、高い精度と安定性が求められます。
微細な操作を可能にするために、器具の形状や重量バランスが非常に重要であり、そのためには細部にわたる詳細なデザインや設計が必要となります。

「神は細部に宿る」というドイツの建築家の有名な言葉は、ディテールにこだわってこそデザインの本質が決まるという意味で、デザイナーにとっては家訓のようなものです。
特に細部にフォーカスされた歯科医療器具のデザインにおいては、非常にリアルに響くメッセージです。

もし、コンサル契約の歯科医の先生から独自の歯科治療機器のデザインを依頼されたと考えると・・・、プレッシャーで息が止まる思いがしますね。


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ブランディングアドバイザー
下尾邦之


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